民間主導での2030年代のフュージョンエネルギー発電実証に向けたフュージョンエネルギー推進プログラムの創設を求める提言

一般社団法人フュージョンエネルギー産業協議会(通称:J-Fusion)は、国家戦略に基づく2030年代のフュージョンエネルギー発電実証に向けて、民間主導の炉開発を後押しする観点から、政府支援策に対する産業界の考えを以下のとおり表明し、政府に対しフュージョンエネルギー推進プログラムの迅速な創設を求める提言を行ってまいります。

  1. 提言に至る背景
    令和7年5月7日、自由民主党科学技術・イノベーション戦略調査会フュージョンエネルギーPTにて、「世界一の『フュージョン産業エコシステム』の逸早い構築への提言」 (以下、「PT提言」)が決定され、令和7年6月4日には、統合イノベーション戦略推進会議にて、「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」(以下、「フュージョンエネルギー戦略」)が改定されました。
    PT提言及びフュージョンエネルギー戦略においては、フュージョンエネルギーが脱炭素社会の実現、エネルギー安全保障、そして我が国の産業競争力維持・強化にとって極めて重要であることが明確に指摘されています。さらに、米国、中国、ドイツ、英国等、各国で官民挙げた大規模支援が急速に進む中、日本がこの国際競争で後れを取ることへの強い危機感が共有されています。
    特に両提言では、2030年代の技術実証・発電実証に向けて、トカマク型、ヘリカル型、逆磁場配位型、ミラー型、レーザー型など多様な炉形の研究開発を官民で推進し、その中でスタートアップを含む民間企業の役割が極めて重要であることが繰り返し強調されています。J-Fusionとしても、これらの方針に強く賛同するものです。
    これまで、 ITER 計画や国立研究所で蓄積されてきた技術・ノウハウを最大限に活用しつつ、今後は、PT提言が指摘するように「技術で勝ち、ビジネスで負ける」事態を絶対に回避する必要があります。そのためには、社会実装を見据えた2030 年代の技術実証・発電実証は、民間主導で進め、産業として早期に成立させることが不可欠です。
    このような状況を踏まえ、PT提言にて示された「他国に劣らない千億円単位の資金供給量を基金として確保する」という方向性、またフュージョンエネルギー戦略で明記された「フュージョンインダストリーを担う民間企業の研究開発支援」ついて、産業界として、早急に具体化いただくよう、以下の通り提言します。
  2. 提言内容:フュージョンエネルギー推進プログラム
    1. 規模 スタートアップを含む民間による多様な炉開発および開発に付随するサプライチェーンの確立のため、5年で数千億円の推進プログラムを創設し、発電前まで(発電含めた支援も除外しない)の実証を支援・加速する。
    2. 仕組み 炉開発・実証の各行程においてマイルストーンを設定し、達成事業者に対して資金を追加供給するマイルストーン型支援とすることにで、政府と産業界が一体となって有望技術を絞り込み、戦略的に資源を集中投下する仕組みとする。
    3. ゴール設定・運用 実現目標、評価基準、KPI等は、今後内閣府に設置予定の「社会実装検討タスクフォース」等を司令塔とし、政府・産業界・有識者が協力して設定・運用を行う。

以上

提言の詳細は「民間主導での2030年代のフュージョンエネルギー発電実証に向けたフュージョンエネルギー推進プログラムの創設を求める提言(補足資料)」をご覧ください。
資料:民間主導での2030年代のフュージョンエネルギー発電実証に向けたフュージョンエネルギー推進プログラムの創設を求める提言
資料:補足資料

一般社団法人フュージョンエネルギー産業協議会 事務局
〒162-0833
東京都新宿区箪笥町43 新神楽坂ビル2階
有限会社ビジョンブリッジ内
TEL: 03-5229-6884 FAX:03-5229-6889
E-mail:  info@jfusion.jp